Poo-tee-weet?(プーティーウィッ?)

ビジネス書などに関する紹介・感想をメインに記事を書いています。経営、組織論、テクノロジー、マーケティング。

全マーケター必読!『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』

改めてAmazonのレビューをみると、著者のひとり森岡毅さんの前著『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』を読んでから読んだ方がよい、言わばアドバンスコースな内容だということをレビューに書いている人もいましたが、僕はすっ飛ばしてこちらのアドバンス書の方を先に読んでしまいました。逆にこれから入門書の方を読もうと思っています。

 

さて、これはTwitterか何かでおすすめされてKindleポチりしてしまったのですが、読んでいた本を読むのをやめて一気に読んでしまいました。最近はポチッとしたり買っただけで途中で読むのをやめる本が多いです(反省・・)。

 

それはともかく、僕は営業ですけどマーケティングのこともしっかり理解した上で仕事をしたいと思っていて本書は非常に有用な内容がたくさん散りばめられていて今年に読んだ本の中でも上位に入った感じです。さていくつか引用でご紹介と個人的な気づきを書いておこうと思います(久々のブログでだいぶ やっつけ仕事?)

 

確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 (角川書店単行本)[Kindle版]

森岡 毅,今西 聖貴 KADOKAWA / 角川書店 2016-06-02
売り上げランキング : 70
by ヨメレバ

 

 

市場において重要なことは、Preferenceを上げること

市場構造を決定づけているDNA、あるいは震源とも言うべき「本質」は一体何でしょうか? いきなり核心の答えを申し上げますが、それは消費者のPreference(プレファレンス)です。プレファレンスとは、消費者のブランドに対する相対的な好意度(簡単に言えば「好み」)のことで、主にブランド・エクイティー、価格、製品パフォーマンスの3つによって決定されています
ーKindle Location 371

 

本書のタイトルでは数学マーケティングという言葉が入っているので、少し読みづらいと思うかたもいるかもしれませんが、内容は文系でもわかりやすく書いてあります。実際には、著者のお二方は数学を利用して(統計学なども含め)、市場調査、ある活動のヒット率のようなものを計算して、勝てる闘いを身の丈にあったレベルで実行することでUSJをV字回復させてきたということが書かれています。その数学的な根拠がしっかりと書いてあるので、数学が分かる方とってはもっと理解が深まる書籍であろうと思います。これを読むとちゃんと数学も勉強しなければなと思う次第です・・。

 

ビジネス戦略の3つの要素

売上を伸ばすためには、1)自社ブランドへのプレファレンスを高める、2)認知を高める、3)配荷を高める、の3つしかない
ーKindle Location 537

 

これを知ってからマーケティング関連の仕事をする際に、それぞれに分けて考えるようにしてみたところ割とよい反応が返ってきて嬉しいです。それぞれができているのか、できていなければそれを改善するためには何ができるか。と言った具合に順を追って考えるだけで、気づかなかったことが見えてくるものです。(実際には、”高める”の意味の中に量・質などの複数の要素が絡んでくるので、このあたりは本書での様々な説明を読んで欲しい)

 

競合分析の本質

消費者を区切ってターゲティングすることは、Mを増やすためであって、決して自社ブランドのMを狭めるためではないのです。この本質を理解していないマーケターは多いように思います。ターゲティングや競合との差別化、などの手段が先に立ってしまって、大切な自社ブランドのMを不必要に狭めてしまっていることが多いのです。あくまでも、自社ブランドの市場全体における魅力度(プレファレンス)を拡大するのが目的であって、ターゲティングはそのための1つの手段に過ぎないのです。ターゲティングは自社ブランドにとって「M」を増やすためにやっているのであるという自覚を持つことで、マーケターは自社ブランドにとってのプレファレンスの伸び代を正しく見つけ出していくことができるでしょう。

ーKindle Location 926

 

良くマーケティング活動でやることは競合分析と自社の強みの明確化だと思いますが、これを実施する最たる理由はPreferenceを上げることであるということです。確かにこれをやりすぎてすごくニッチな領域に自らを押し込めているときもあると思いました。競合分析でSegmnetationして終わり、ではなく、必ずPreferenceを上げるために何をすべきか、何ができるか、ということを考える場を設けることを意識した方がよさそうです。

戦略のたてかた

戦略家は、1)自分自身の時間をどこに集中して使えば戦果が最大化するか、2)自分以外の人々をどこにどう集中させて使えば戦果が最大化するか、この2つを冷静に考えるのです

ーKindle Location 1889

 

戦略のたて方について至極当然のことだがゴールから考えることの重要性が語られている一方で、シナリオを複数考えてみてそれぞれの有効性を考えてみることが書かれている。おそらく著者は苦労をせずともシナリオを複数考え、その有効性を確認することをしているのだろうが、これを素人がやろうとするとおそらくじっくり考える時間が相当必要であろうと思う。

 

僕の場合あまり戦略的な決定、プランに絡んだことがないのだが、個人に求められるプランニングについては割とやっつけ仕事で思い浮かぶことをすべて書いているだけで、その有効性をじっくり考えてみたり、疑ってみたりすることができていない。一度、自分自身が普段計画・戦略を考える際に実際に改善してみようと思っています。

 

その他

その他気になったところを備忘までに書いておきます。

我々が求めているのは未来の指標です。だから、すでに未来の状況にいる一部の人々の判断を探しているのです。しかしどの状況が未来の状況かは明確には分かりません。よって、未来の予測は、目的とする事業に関しできるだけ広く、歴史、文化人類学、心理学、社会学のフレームワークやモデルを動員して質的データを読み解き、いくつかのシナリオを考えることです。
ーKindle Location 2161

 

さいごに

広報とか狭い範囲で動いている人はあまりこういった本を読んでも意味ないかもしれませんが、しっかりと戦略的に自社のプリファレンスをあげていくミッションを持っている人は絶対に読んだ方が良いと思います。いや、本当はこれから人口が減って一つの会社を担う人数はどんどん減っていくのだから、このあたりの考え方は会社にいるすべての人に知っていてもらいたいなと思う。そんなことを自分の会社にも照らし合わせて考えるのでした。

 

2017/02/17アップデート:こちらも書きました! 

poo-tee-weet.hatenablog.com

 

 

確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 (角川書店単行本)[Kindle版]

森岡 毅,今西 聖貴 KADOKAWA / 角川書店 2016-06-02
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USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 (角川書店単行本)[Kindle版]

森岡 毅 KADOKAWA / 角川書店 2016-04-23
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