Poo-tee-weet?(プーティーウィッ?)

ビジネス書などに関する紹介・感想をメインに記事を書いています。経営、組織論、テクノロジー、マーケティング。

10代でもわかるマーケティング入門ー『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』を読んだ

最近はとことんマーケティング関連の本を読んで知識を深めようとしている。なんとなく理論の概要などは知っていてもなかなか具体的にその考え方を元に行動をすることができないことが多いが、知識を深めて日頃の活動に活かそうと思っている。前回読んだ同著者の本である『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』を読んで、外資系企業にいる自分の周りを見てみてもなかなかマーケティング的思考、戦略思考で考え、行動(行動が一番むずかしい)できている人がごく僅かだと気づいた。そういったこともあり、マーケティング関連の本を深掘りして注力して読んでいる。こちらの本はだいぶ前に読み終わっていたのだが、まとめられていなかったので、備忘含め、マーケティング関係にかぎらず気づきを書いておきたい。 

 

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もくじ

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マーケティングの本質

本書は冒頭で著者も述べているように、高校生や大学生などの一般に「マーケティング」という言葉に慣れ親しみのない人に向けた本である。そういうことからかなり平易にマーケティングとは何か、どのようなことが求められるのか、などが一から説明されている。なので、マーケティングに従事している人やマーケティング担当の人と関わることのある人はだいたいわかっているだろう内容が大半である。その反面、知らない人にマーケティングの本質を伝えることが目的の本書はシンプルでわかりやすい説明が多く。マーケティングってなんだろう、マーケティングの部署に所属された人にとっては非常に有用な本だと思う。

マーケティングの本質とは「売れる仕組みを作ること」です。どうやって売れるようにするのかと言うと、消費者と商品の接点を制する(コントロールする)ことで売れるようにするのです。  コントロールすべき消費者との接点は主に3つあります。 (1)消費者の頭の中を制する。 (2)店頭(買う場所)を制する。 (3)商品の使用体験を制する。
ーKindle location 839

 

稟議システムに潜む罠

多くの日系企業は「稟議」という根回し&全員合意型の意思決定をしている。僕は稟議というものをやったことがないが、外から見る限り相当な労力をかけ大きな意思決定をしているように見える。かつこの全員合意で行うことから、根回し→実際の打ち合わせではGoサインを出すのみ、というプロセスになっている。これがともすると無駄になる可能性を孕んでいることが指摘されている。「お前たちが決めたならそれでいいよ」となるケースは現場にとっては楽なこともあるだろうが、会社にとっては大きなロスになる可能性もあるので気をつける必要がある。

 

社内関係者全体がそれなりに納得できるプランを根回しして作ってから、それを上に持っていくのだと。会議でも活発な議論や討論などはなくて「なんとなく決まった」ことになるそうです。誰が決めているかよくわからない、どこで決まっているのかよくわからないプロセス。それは「意思決定システム」と明確に意識できるものではないようです。そういう組織では、トップのところに来た段階ですでに「カレーすき焼き」である可能性が高く、トップも無意識のうちに「カレーかすき焼きのどちらかの選択」ではなく、「カレーすき焼きをやるかやらないか」の意思決定しかしていないことが多いのではないでしょうか?
ーKindle Location 2372

 

実行力だけではだめ

 

上述のことと絡むが、そのようになんとなく意思決定がされ、実行のみが進むことは危険であると筆者はいう。確かに悪い戦略のまま猪突猛進しても逆の方向に進んでいたら意味がない。悪いかどうかは結果が出てからわかることも多いので、しっかりレビューをした上で方針転換を早急に行うことが必要だろう。全員合意型の意思決定では方針転換に時間がかかってしまうということが問題として残るが。

 

最後に最悪と呼ばれるD、Bad Strategy & Good Execution について。間違った戦略で、戦術が強かった時には一体どうなるのか? それは間違った方向へ、思い切り進むことを意味しています。香港ディズニーへ向かって、飛行機で飛んで行ってしまうということです。気がついた時には目的から猛烈に離れてしまい、リカバリーすることが非常に困難になります。これが最悪のビジネス結果を生む可能性が一番高いのです。Read more at location 1431

 

キャリア設計についてのアドバイスも

 

本書の冒頭にキャリア設計に関するアドバイスもあるという話があったというのも本書を読もうと思ったきっかけである。対象が高校生や大学生だということなので、こういった面でも就活で悩んでいるような人も含め若い人には有用な本だと思う。個人的な話をすると、3〜5年くらいはあまりどの「職能」を選ぶかという判断はつかなかった気がする。ただその最初の3〜5年くらいであらゆる仕事に手を出して(それが許されないカルチャーがある会社もあるだろうが・・)、いろいろな仕事を通して自分自身は何をしていきたいかを模索するしかないだろう。最初から営業一本でやるんだ、とか、企画一本でやるんだ、と決められる人はごく少数だと思う。

 

「職能(スキル)」を選んでそれと結婚することをオススメします。あなたの中に培われて貯えられていく職能は、あなたをプロとして自立させていきます。あなたがどの会社で働こうとも常にあなたの中にある、誰も奪えない本当の財産になります。会社と結婚せず、自分が好きで選んだ職能をひたすら伸ばすために努力していくのです。そうすれば、あなたは会社を選べるようになります。例えば配偶者が転勤となった先でも、自分の職能を活かして仕事を見つけることもできるはずです。自分や家族のライフステージに合わせて仕事と向き合う自由を手に入れられるのです。
ーKindle location 2990


マーケティング関連の話をあまりとりあげなかったが、より多くの若い人に読んでもらって日本企業が競争力をあげられるといいと思っています。



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