Poo-tee-weet?(プーティーウィッ?)

ビジネス書などに関する紹介・感想をメインに記事を書いています。経営、組織論、テクノロジー、マーケティング。

OKRについて考えてみる 2017夏

お題「一気読みした本」

 

ハイアウトプットマネジメントが復刊してからOKRがいろいろな場所で取り上げられている。昔に書いたこの記事もちょこちょこ読まれているようなので、”目標管理”カットでちょっとまとめて書いておきたいと思う。僕自身、よく年間や四半期のプランを作成することが多く、また日々変化する状況/新しい課題に直面するたびに、場当たり的な目標設定を自分自身でもすることがあるが、走っている途中で、当初立てた計画について「これって本当に重要な目標指標(KPI)なのか?」と悩むことが多々ある。最近に至っては任務も重要な分野、広範囲かつ自分だけではコントロールしかねる分野を担うことになったりとかで頭が痛い。そんなこんなでOKRなどについて今一度頭の整理をしてみたいと思う。

 

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用語の整理

 
企業によって、KPI、MBOなど色々な呼び方があるが、本質的にはすべて同じものだと個人的には思っており、その企業が好きな呼び方をすればいいと思うが、複数の観点から現行ビジネスを把握する/検討するために、複数要素を取り入れるのもいいんじゃないかなと思っています。
 
OKR:Objective Key Result
・Objective(目標/目的)
・Key Results(期待される結果 と 活動計画(マイルストーン))
 
KPI:Key Performance Indicator
 結果的に売上などにつなげるためのパフォーマンス指標
 XXをYY回やるなどの内容(定量的に把握できることが好ましい)
 
MBO:Management by Objective
 その名の通り、目標によりマネジメント
 これに連動して賞与が与えられることもある
 

Objective Key Resultを使う効果

 
OKRという手法は、中期的に何を目標とし、何に向おうとしているのかを明確する上では非常に役に立つ。
 
市場が勝手に伸びている、つまり、外的要因により伸びているといったケースでは、ある程度この目標がゆるくてよかったが、自らが市場を作っていく必要がある、あるいは新たにチャレンジしてみる、といったことに取り組む場合、目標と期待する結果は設定できたとしても、それに対する活動 及び KPI設定というのを設定するのが難しいのだ。また、新しいことへチャレンジする場合、不確定要素が多く、勝ち筋を見つけるまでに試行錯誤が必要で、主要な活動とKPI設定というのがパキッと定められることはめったにない。
 
この問に少しでも答えてくれそうなのが、『リクルートのすごい構”創”力』(2017年)と『How Google Worksグーグル・ワークス』(2014年)である。攻めのビジネスといったものを実現しなければならない時代になっているなか、リーン・スタートアップ(参考)などの手法が取り上げられるが、よりミクロな観点、事例ベースでどのような指標(=KPI)を取り入れるべきかなどのヒントになりそうなので、備忘メモしておきたいと思う。
 
良いKPIとは
 
リクルートでは、そのビジネスが立ち上げ期(ゼロから1を作るフェーズ)にいる際、何が顧客への価値として提供できるKPIになりえるか?といったことを何度も検証を重ねて見つけ出すという活動、価値KPIをみつけるということを実施しているようだ。詳細は読んでもらいたいが、ここで良いKPIのポイントとして挙げられていることがある。
 
①整合性・・・最終的な目標に向かって、きちんとロジックが通っていること。最終的な目標が売上なのか利益なのかということだけでも、達成への道筋は異なってくる
②安定性・・・KPIとして定めた指標が、安定的・継続的にとれること。検証しづらいものをKPIにしてはいけない
③単純性・・・指標が少なく(できれば1つ)、覚えやすいかどうか
 
ーp133『リクルートのすごい構”創”力』

 

 
①はOKRにつながるものであり、②、③は以下に述べることと若干ことなるが、これが設定されれば、1になったビジネスを10、100に持っていけるのである。つまり、1にするまではあらゆるチャレンジをすることで、製品ポートフォリオ・マネジメント(PPM: Product Portfolio Management)で言うStarになるまで、検証し続けるということである。検証にあたってはしっかりとそれが顧客価値になるのかというところを意識しているようである。
 
また、③の単純性は一旦勝ち筋が見つかったものを量産するための仕組みなので、この3つのポイントはStar製品について述べているものだと考えるべきだろう。
 
 

KPIは必ずしも100%達成が健全な状況ではない

 
一方で『How Google Works』では、どちらかというとゼロ→1 のフェーズでの設定すべきKPIについて説明しているように思える。
 
いつも100%達成できているようなKPI設定は、達成するのが簡単すぎるか、KPIそのものが間違っている、といったことを疑ったほうがいい指標だとHow Google Worksでは言及されている。この辺は誤った考え方でKPIやMBOを設定している企業や組織があることが多々あるだろう。実際になるべく達成しやすいものを設定すべし、という感じで支持される場合もある(設定すべしと言っているのは、実はマネージャではなく、現場が考えたものを即採用するということもあるのだ)。
 

優れたOKRの特徴

1.大局的視点に立った目標を、測定可能性の高い意味のある結果と組み合わせること
2.発想を大きく:優れたOKRは達成に相当な努力を要するもので、すべてのOKRについて達成度100%というのは現実的にありえない
3.ほぼ全員がOKRを実践すること
4.スコアがつくが、スコアそのものが別の目的に使われることはなく、記録にさえ残らない。その為、正直に自分のパフォーマンスを評価することになる。
5.業務全体を網羅するものではない。対象となるのは特別力を入れるべき分野や、特別な努力をしなければ達成できないような目標
ー『How Google Works』 p302-303から抜粋

 

KPI設定の適材適所

 
上記の様な内容を改めて観てみると、企業が取り扱うPPMに応じて、KPIの意義と設定する内容を変える必要があり、両者を混同しないような工夫が必要だろうと思う。なるべくこれは一人ずつに割与えたほうが良さそうだが、一人が複数持つ場合には、給与面の設計も気をつけたほうがいいと思う。
 
以下は勝手な分類分けであるので、誰かのご参考になれば。。
 
現行ビジネス:Business as Usual (Cash Cowなビジネス)
・活動の質:仕組みのメンテナンス
      100%達成することが普通(というか絶対達成すべき)
・給与面:100%達成で、100%のボーナスが得られる(ボーナスの一部の100%)
・管理面:一回決めたら基本的には変えない
 
新規ビジネス:Business to Grow (Problem ChildからStartにしたいビジネス)
・活動の質:これができれば絶対にブレイクスルーが起こるという内容
      70%達成できれば上出来、100%はかなり難しい
・給与面:100%達成したら、多大な報酬が得られる
・管理面:活動内容やKPIはピボットしやすくする
 
 

終わりに

 
とりあえず自分自身の頭の整理のために書いてみたが、現実はこんなにシンプルにはいかないことも多い。僕はこの手のことをいつも悩んでいる気がして、なかなかそれこそパキっとした手法がだせていない。それはおそらく新しいものを取り扱っているからで、いつでもその活動には不安が伴うし、試行錯誤で修正しているからなのだろう(そう信じたい)。 

 

 

■ 参考文献

■関連エントリー

poo-tee-weet.hatenablog.com