Poo-tee-weet?(プーティーウィッ?)

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ビル・ゲイツ推薦本 楽天 三木谷会長の『競争力』を読んだ

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先日、「そういえば毎年 Bill Gatesが読むべき本をいくつかリストアップしていたけれど、2016年もやっていただろうか?」と思いググってみるとやはり継続してやっていたようだ。どこかのブログ記事で『サピエンス全史』がBill Gatesに取り上げられていると読んだからだったと思う。それを見ていたら、たしかに『サピエンス全史』もリストされていたが、以外なことに楽天社長の三木谷浩史の本もリストされていた。もちろん英訳されたものであるが、英訳されていること自体にまず驚いた。ということで読みたい本がどんどん増えてしまっているのだが、読んでおこうと思いKindleで購入し読んだ。経済学者の父親との親子対談というレアな本となっており面白かったので幾つかポイントをシェアしたいと思う。

www.gatesnotes.com

 

もくじ 

 

 

暗黙に受け入れられるガラパゴス

暗黙、と言うよりは裏でそのように仕組まれている、という感じだが、既得権益を守るために様々なルールをつくり、それを守る。そうしてしまう理由もわからなくもないが、内部でぐるぐるビジネスを回すという旧態依然とした経済の仕組みから(ほぼ社会主義的)、オープンな競争に慣れないといけない状況に来ていると思う。英語教育もなんでこんなに進まないのだろう、と思っていたが、いろんな利害関係が絡んでいるのだなあと感じた。

 

官僚が産業界を支配するためには、国内をガラパゴス状態にするのが一番、都合がいいわけです。そうすれば、外資を排除することができる。外資はコントロールすることができないですから、外資を排除するしくみを作るわけです。そのためには、まず日本人を洗脳しなくてはいけないから、英語教育は推進しない。また、メディアをコントロールするために、記者クラブを作る。乱暴に言ってしまえば、こういうことでしょう。ーKindle location 1619

 

戦略立案力が必要

先日読んでいたマーケティング関連の本でも、大局をしっかりと理解し、何にリソースをつぎ込むかということをしっかり考えること、つまり戦略立案力が必要だという話を何度も読んだ。これが立案できず、電Xさんが言っているからそうだろうと鵜呑みにして、巨額をつぎ込む、ということが普通に起こっているのが日本なのだろう。こう閉鎖的であり、思考停止モードじゃこうなってしまうのもしょうがないのだろうが、もはやこのままでは海外からの脅威によりあらゆる嘘や隠し事が増え、ひずみが起きてあらゆる企業で倒産やら買収やらという話が出てきてもおかしくない( すでに少しずつほころびが出ているようにも感じる)。

 

マーケティングというのは要するにセンスで決まるので、日本のブランドやファッションを高めるためにどうしたらいいかを、本当にセンスがある人間に戦略的に考えさせる必要があると思います。ところが、日本政府が今やろうとしているアプローチは、経産省主導でファンドを作り、そこに大手広告代理店をはじめとしたお決まりのメンバーを集めていろいろな取り組みをするというやり方です。どちらかというと、対策が質ではなく量的拡大なのですが、ぼくはそれではダメだと思っています。  もうひとつ重要なのは、グローバル企業が本社を日本に置くようにさせることです。たとえば、イギリスは政府の対英投資局でさまざまな優遇策を作って、ロンドンに企業の本社を置かせようとしています。一方、日本はどうかというと、かつて日本にアジア本社があったP&Gやネスレといった企業はほとんど海外に出ていきました。ーKindlelocation 2304

 

 


三木谷浩史はトランプ当選を予測していた?

この本は2013年9月に出版されたのだが、実際2017年から共和党がアメリカの政権となり、ドナルド・トランプが大統領となる。トランプが推進しようとしているのは、マイノリティを排除していこう、アメリカ国内の雇用を増やしていこうか、とかそういう話が出てきているが、日本企業も翻弄されている(就任前だというのにすでにトヨタがインパクトを受けた)。この流れというのはおそらく、経済・マネーが世界を動かしているということを裏付けている一つの要因だと僕は思っていて、もはや政治家による政治家のための政治は徐々になくなってくるのかなと思っている。あらゆることが流動的なアメリカだからこそこれが真っ先に起こっていて、日本は流動的ではないので今はそれが起こっていない。世界の流れとしてなんとなく把握しておく必要があると思っている。

 

浩史 ヒスパニックなどの移民が増えたので、しばらくの間、アメリカは民主党が勝つから問題はないですが、政権が代わったら官僚も全部交代でしょう。
良一 共和党の人はどうするのかな。
浩史 いや、もう政策を変える時期だと思います。人工妊娠中絶の是非とか、いくつかのテーマについて、もっとリベラルな考え方のリーダーが共和党のなかでも出てくると思います。その人が勝った時には、もしかしたら共和党が復活するかもしれません。ーKindle location 1482

 

雑感

第二次安倍政権発足当初に政府に提言したことがほとんど却下というか一部しか採用されないとかそういうのもあり自分の考えを広めたいという意味で本書を企画したと冒頭にもあり、何とかして日本を変えなければいけないと思っているような雰囲気を感じた。政治家になるつもりはないようだが、政治家経験のないトランプが大統領になったように、三木谷会長とか孫社長などのような人が政治家的な動きをする日もいつかやってくるのかもしれない。それに備えて何ができるだろうか、とふと思った。