Poo-tee-weet?(プーティーウィッ?)

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IoTをもっと大きなピクチャで考える 『限界費用ゼロ社会<モノのインターネット>と共有型経済の台頭』

2015年10月に出版されていたがちょっとスルーしていた本書。4月くらいにKindleでディスカウントされていたので、ポッチって少しずつ読んでいた。このタイトルからはなんとなく地味なイメージのあるが、予想以上の中身の濃さとエキサイティングな未来を感じられた。もっと早く読んでおけば良かったと思いつつ少しばかり備忘録、気づきを書いておきたいと思う。

 

ジェレミー・リフキン NHK出版 2015-10-27
売り上げランキング : 1635
by ヨメレバ

 

垂直統合型経済が推し進めた生産性

 

資本主義経済において、垂直統合型の経営というのは切っても切り離せないものであった。これにより、効率的に仕事を回すことができたのは言うまでもないが、どの企業もこぞって河上から河下までを包括するトータル企業になるべく奔走していた。個人的には大学1年の時だったかに、アメリカ経済史を聞いた覚えがあるが、こういう切り口で聞くとこの潮流を理解して置くことは非常に重要だと感じだ。これがあるから、今のIoTとかいう流れがあるのだと。

 

垂直統合型の大企業の経営自体は、中央集中化されたトップダウンの指揮・統制メカニズム によって最も効率良く遂行された。 新しいコミュニケーション/ エネルギー/ 輸送 マトリックスの登場に伴い、稼働のために新たに必要となったものを真っ先に理解したのも鉄道会社だった。
ー Kindle Location 1140

 

蒸気を動力源とする印刷と石炭を燃料とする鉄道輸送が都市化を促した。 印刷物によるコミュニケーションと、固定された最終目的地への鉄道貨物輸送 によって、ビジネス活動や居住生活が集中する場所はほぼ決まった。都市は巨大化し、鉄道の路線沿いに新しい町が続々と出現した。印刷物による コミュニケーションと鉄道による貨物輸送に依存する企業は、コミュニケーション/エネルギー/輸送拠点の近くに自ずと位置を占めた。
ー Kindle Location 1409

 

 

シェアリング・エコノミー

 

時代は所有からアクセスへと確実に流れているというのは、UberやAirBnBなどのサービスが登場し多くの人に利用されているという点で周知の事実であると思う。実際、20世紀は物質主義的な傾向が強く、それが経済を強く推し進めていた。それは、「消費する」ということが「広告」によって助長されていたからであり、あらゆる業界において生産性を劇的に向上した要因が消費による富が主要因という事実がある。

 

  第二次産業革命期に資本主義市場の中心的存在だった個人所有の自動車 は、公共の福祉を最適化することにいっそう適した新興の協働型コモンズにおいて、カー シェアリングが持つ分散 型・水平展開型モデルの煽りを食い始めている。市場がコモンズを手懐けるのではなく、コモンズが市場を手懐けるのだ―共有型経済は資本主義を滅ぼす存在ではなく市場機会である、と誤解し続けている人々にはいまだ十分に飲み込めていない現実だ。
ーKindle Location 6007

 

 

いわゆるミレニアル世代と呼ばれる1980年代から2000年代生まれの人々にとっては、インターネットは幼少期から慣れ親しんだものであり、その場であらゆる情報やモノを交換していた。今の時代を牽引するサービスはこの世代をメインに利用され、広まっていることは曲がりない事実だろう。

 

ジェネレーションY - Wikipedia

 

 

日本人として考えるべきこととは

そのような流れのなかで、まさにそのミレニアル世代の只中にいる僕らは何を考えればいいだろうか、ということについて長期的な視点で考えることができる。日本版特別掲載の、<特別章 岐路に立つ日本>では、日本がドイツと比較して遅れをとっている面が書かれている。重厚長大型、ゼネコン主導の日本において、本書で何度も記述されているような、協働型、分散型のコモンズを活用した体制を取ることはまだまだ課題がありそうだ。

 

 

 

日本は、限界費用ゼロ社会へのグローバルな移行における不確定要素だ。この国は 今、中途半端な状態にある。その苦境を理解するには、日本の現状をドイツ の現状と比べてみさえすればよい。両国はグローバル市場における、世界一流 のプレイヤーだ。日本経済は世界第三位、ドイツ経済は世界第四 位に位置する。ところが、ドイツがスマートでグリーンなIoT(IoT(モノのインターネット)インフラ へと急速に移行することで共有型経済と限界費用がゼロの社会を迎え入れようとしているのに対して、日本は過去との訣別を恐れ、 確固たる未来像を抱けず、岐路に立たされている。
ーーKindle Location 8051

 

その他気になるポイントの備忘

気になる広告の未来

これはすなわち、広告業者が開拓できる消費者市場の縮小を意味する。さらに、コモンズで発展を続けるソーシャルエコノミーは、分散型・協働型で、ピアトゥピアの仕組みを持つので、経済的な意思決定は、企業の広告キャンペーン の 影響 よりもむしろ、フェイス ブックやツイッター、 ユーチューブをはじめ とする何 百ものオンラインのソーシャルメディア・サイトで、「 友達」や仲間 どうしで交わされる推薦やレヴュー、口コミ、好き嫌いといった意見に左右される。
ーKindle Location 6585

 

IoTの主要因

IoTは、コミュニケーション・インターネットとエネルギー・インターネットと輸送 インターネットから成り、この三者は単一の稼働システムとして協働する。
ーKindle Location 500

 

 

雑感

本書を購入するにあたり、<モノのインターネット>という言葉にはあまり惹かれてはいなかった。IT業界においては、IoTという言葉をたくさん聴くようになったが、話の大半はそれをどのようにビジネスにするのか?や我々はその中でどういうプレイヤーとなるべきなのか?誰と一緒に組めばいいのか?というかなりミクロな話が多かった。もちろんその集大成がマクロになるわけだが、マクロの流れを意識しながら自分達の活動に生かすことが改めて必要かなと感じた。

 

マクロの流れを理解するために豊富な具体例が並べられている本書は是非IT業界にかぎらずあらゆる業界の方に読んで欲しいなと思いました。それくらいエキサイティングな本であると個人的には思いました。

 

ジェレミー・リフキン NHK出版 2015-10-27
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