Poo-tee-weet?(プーティーウィッ?)

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ネットワーク効果を理解する(その2)ー第4章〜第6章まで箇条書き要約『急に売れ始めるにはワケがある』

以前に3章まであげていましたが、4章から6章まで箇条書きまとめしていましたので、備忘も含めて残しておきます。感染するのって、強いつながりも必要だけど、過剰すぎるとだめで、弱いつながりも意識するのが重要というのが今の所僕が得たことですかね。
 
引用もありますが箇条書きは僕のメモ書きなので、是非ご自身で読んでもらうことをおすすめします。特にマーケティングに携わっている人などにおすすめ。ちょっと小難しいかもしれませんが。
 
 
 

第4章:背景の力 人の性格に感染する背景・・・原則3

  • NY:1990年を頂点として、犯罪率が急激に減少。殺人事件は三分の二減少、重罪事件は半分。
  • 背景の力:それが起こるときと場所の条件と状態に敏感に反応する感染
  • NYの犯罪伝染病の流れを変える役割を果たした「何か」
    • 「割れた窓」理論:犯罪は無秩序の不可避的な結果。割れたまま修理されていない窓のことを誰も二期似ていないしだれも責任をとっていない。まもなく他の窓も割れ、無法状態な雰囲気が伝播する
    • 1980年代半ばに「割れた窓」理論を実地に映すべきだと主張し、数十億ドルの予算をかけて地下鉄再建計画を実施
      • 1984年〜1990年まで電車への落書きを撲滅する活動を実施
    • 無賃乗車の撲滅=無秩序を象徴する小さなしるし
      • 無賃乗車しようとしている者を片っ端から捕まえては手錠をかけ、「満員」になるまでプラットフォームに数珠つなぎに立たせたておいた
      • →無賃乗車の取締に本気になっているという意思表示を広く知らせるための方策
    • 生活環境犯罪の取締が、凶悪犯罪激減のティッピング・ポイントだったーp200
  • 背景の核心
    ”わたしたちが内面とみなしているものー自分の好みや感情ーは、一見するとそれとは直結しない個人的な影響によって、一日数分しか見ていないニュースキャスターによって、あるいは二分間の実験でただ黙って隣りに座っている人によって左右されていることがわかった。背景の力の核心は、それと同じことがある種の環境にも当てはまるということにある。つまり、私達の内面状態は、必ずしも意識していないかたちで、外部の環境に決定されているということだ。”ーp207
  • 2つの心理学の実験
    • 検証1:模擬監獄の実験
      • 実験の目的:監獄はどうして不快なのか?不快な人間が多数いるから?監獄の環境が不快だから?
      • 実験の内容:実験に応募した人半分を模擬監獄の看守に、半分を囚人にする実験
      • 実験の結果:看守たちがたちまち厳しいしごき屋に変貌した
        • 1日目:午後二時に囚人たちを起こして腕立て伏せを命じて壁に向かって整列させ、気まぐれな命令をだした
        • 2日目:囚人たちは反抗して識別番号をはがし房内に立てこもり
          • 看守たちは囚人を裸にし、消火器を噴射しそれに対抗。反乱の首謀者を隔離房に閉じ込めた
        • 実験は2週間の予定だったが6日間で切り上げ ← 36時間後に1人の囚人がヒステリー状態、4人の囚人が極度の情緒不安定で解放されたことを理由に
    • キーワード:状況(シチュエーション)
      • 環境問題(育てられた環境、通った学校、友達の種類、どこに住んでいるか)や遺伝子のような、”決定要因のすべてが一掃されてしまうような時と場所と条件が存在する(p211)”
      • =正常な人間を良い学校と恵まれた家庭と良い住環境から引き離し、目前にある状況の細部を変えただけで彼らの行動を協力に支配してしまうような瞬間がある(p211)
    • 検証2:正直な人はいつも正直か?
      • 実験の内容:8才から16才までの1万1000人の生徒を対象に正直さを測るために考えられた数十ものテストを実施
        • テストは、空欄を埋めるような形式
          • 1回目は通常の所定時間のほんの一部しか与えられず未回答のまま回収され、採点される
          • 2回目は問題は異なるが難易度は同じ。答えのヒントが与えられ、監視を最小限にとどめ、自己採点をするように伝えられる
            = 生徒たちがいくらでもカンニングできる状況に
          • 全日の結果と比較しどれくらいカンニングしたかを判断
        • 上記以外にもあらゆる種類のテストを行った
          • スピード・テスト:所定時間内に回答を行うテスト
          • 懸垂や幅跳びのような身体能力テスト
          • 自宅で行うことのできるテスト
      • 結論:こういったテストでは多くのカンニングが起きる、平均して正直な採点の50%も特典が高くなった
        • 一貫性は期待より高くなく、はっきり特定できるカンニンググループがあるわけでも、正直な生徒のグループがあるわけでもない
        • 正直さのような特徴は状況に大きく左右されるもの(ー大多数の子供たちは)
        • ”固有の性格という観点だけ判断し、状況の役割をなおざりにすると、人間の行動を決定している真の原因を見誤る”(pp215-216)
  • 背景の重要性
    • 背景の重要性を理解し、環境の中の比較的小さな特定の要素がティッピング・ポイントの役割を果たすことがわかれば、このような犯罪に対する敗北主義は転倒するだろう。環境のなかのティッピング・ポイントは変えることができる。割れた窓を修理し、落書きを消せば、最初の犯罪を誘発するシグナルを変えることができるのだ。犯罪は理解するだけのものではなくなる。防ぐことができるようになる。ここにはもっと幅広い可能性があるのだ。--p126
 

第5章:「150の法則」という背景 人の行動に感染する効果的な集団の規模

 
  • 宗教運動はどのようにしてはじまるのか?例としてメソジスト運動(18世紀後半から19世紀前半までに英国、北米で急速に拡大した)
    • 創始者のウェスリーはカリスマではなかった
    • 彼の天才は組織づくりにあった。ウェスリーは英国や北アメリカを旅しながら、おびただしい数の民衆に野外で説教をした。しかし、ただ説教しただけではなかった。それぞれの町に長期間逗留し、特に熱心な改宗者を集めて、いくつかの信仰共同体を組織し、さらにそれを十数人程度の組に分割した。ーp234
    • もし人々の信仰と行動に根本的な変化を、永続的で他人の模範になるような変化をもたらしたいのなら、新たな信仰が実践され、表現され、育まれるような共同体を創設する必要がある ーp235
  • 小規模で緊密なグループには、あるメッセージなり発想が持つ潜在的な感染力を強化する力がある。->どの程度のグループがもっとも効果的なのか?
  • 150の法則
    • プリンストン大学で記憶を専門にしているジョナソン・コーエン、「どうやら、学習と神経系の構造の双方のせいで、人間にはある一定の限界が組み込まれているようである。つまり、このあたりに人間のチャンネル・キャパシティをとどめている境界線があるらしい」
    • 人間が一度に扱える情報量は限られている
      • 死なれたら本当に打ちのめされる人:大半は平均して12名くらいあげる → 共感グループ
        • 時間、感情的負荷によりこれくらいの人数になっている
    • 「人間の社会的チャンネル・キャパシティ」 イギリスの人類学者 ロビン・ダンバーによる
      • 脳の大きさはグループの規模に比例する。集団生活の規模と新皮質の大きさが比例する。
      • より大きな社会の複雑さを処理するのに能が進化
      • ダンバーの導き出した、新皮質率と集団生活の規模の公式をホモ・サピエンスにあてはめると147.8人=ほぼ150人という結果
      • 軍事組織も同じ:軍事組織の立案者たちは長年の経験から、機能的な戦闘部隊の構成員は実質的に200名を超えることはない
      • 150以下であれば、規模なしでも同じ目標を達成することができる
        • 自ずと秩序が維持できる規模
      • ヒュッテル派と呼ばれる宗教グループ:自給自足の農業共同体を維持
        • 厳格な方針:共同体の人数が150人に達するたびに2つにわかれ、新たな共同体として出発する
  • ゴア・アソシエイツ社の150人戦略
    • 工場の上限人数を150人程度までにしている
    • 「交換記憶」機能:人は他人を通じて情報をたくわえている
    • ゴアでは効率性の高い制度的な交換記憶がある
    • 会社を一体化させるためにーー社の特殊な方針を従業員全体に行き渡らせるためにーーゴアではむしろ、なかば独立した小さな部分に分割する必要に迫られた。これは感染のパラドックスだ。感染的な運動を生み出すには、まず最初に小さな運動体をたくさんつくらなければならない場合が往々にしてあるということだ。
 
 

第6章:商品はどのようにして感染するのか?Case Study1 エアウォーク社の販売戦略から学ぶこと

  • エアウォーク社:サンディエゴ郊外を本拠地として、ビーチスポーツ・スケートボード関連のティーンエイジャー向けのアパレル会社。エアウォークと呼ばれる靴が爆発的に売れた。
  • ジェフリー・ムーアのキャズムの話
    • 「先見性のある小企業の目的は飛躍的前進を遂げることにあるが、実際家である大企業の目的は勝ち目のある変革ーー穏やかで節度のある予測可能な進歩ーーを遂げることにある」とムーアは書いているーp266
    • ムーアの主張では、初期採用者と初期多数派の態度は根本的に相容れない。新しい改革の波は、あるグループから隣のグループへすんなりと移行していくものではない。両社の間には大きな亀裂がある。どんなハイテク製品も、初期採用者の枠を超えられないかぎり、失敗する。なぜなら、その製品を作った会社が、初期採用者を完全に納得させるアイディアを、初期多数派のメンバーを納得させるようなアイディアに変換する方法を見いだせなかったということを意味するからだ。ーp267
  • 感染を媒介する翻訳者
    • メイブンやコネクターやセールスマンの手にかかると感染的になるのは、このようにして余分な細部を削ぎ落とし、他の部分を強調することによって、メッセージそれ自体により深い意味が出てくるからなのだ。もし、感染をスタートさせたいならーーその対象が靴であれ、行動であれ、ソフトウェアであれーーこういった方向でメイブンやコネクターやセールスマンを利用すべきであり、イノヴェーターからのメッセージをわたしたち一般人にも理解できるようなものに翻訳してくれる、手段なり人物なりを探し出さなければならない。ーp273

最後に

自分なりに本書で述べられていた概念を簡単な概念図にしてみました。ちょっと違うかもしれませんが、これはあくまでも現時点での僕の理解です

 

感染をスタートさせる役者については第2章で述べられていました。それを翻訳する素材については6章で述べられていましたが、それはセールスマンやメイブンが実施していることです。また、広げる単位を150人くらいに留めるなども重要な要素として語られていたと思います。さらに、それらをしっかり伝播させる力として粘りの要素と背景の力があるということになります。

 

詳細については本書を読んでみてくださいね。

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