2017/5/5 追記:
OKRが改めて取り上げられている。KPIが古いという煽りタイトルだが、OKRでもKPIは必要だ。ただ、KPI(Key Performance Indicator)だけ考えていた人にとっては目的を明確にし(Objective)、それに伴う結果(Key Result)を達成するために、どのような活動をしなければならないか(Milestone/KPI)を順序だてて考えることは目標達成のために重要なことだと思います。
2017/1/4 追記:
復刊版として日経BP社から出版されるようです(1月11日)。How Google Worksの影響が大きいでしょうか。Kindle版もあるので是非読んでみてください。
How Google Worksの中でこの本への言及があったので気になって読んでみた。もう絶版で中古でしか売っていない。現在は在庫が少ないようで、すごく高く売られている。本書は昭和59年6月15日に初版が発行されている。ということは、1984年だからもう30年以上も前の本になる。(調べてみたら、改題版で出てました。これも新品はないかなあ。『インテル経営の秘密―世界最強企業を創ったマネジメント哲学 』でした)
そんな古い本であるが、マネジメントの基本がたくさん散りばめられている。もちろん、20世紀を(21世紀も現役ですが)代表するIT企業のインテルCEOのアンドリュー・グローブが、実際に会社が大きくなるに連れて体験したことをもとにこの本を書いているのだから当然だろう。あらゆる試行錯誤をしてきたのだな、とも思わされる本です。
数ページに一箇所くらいのペースで付箋を貼ってしまいましたし、いくつもキーワードがあるので、それについて用語集を作ってもいいくらい。ちょっと長めになるかもしれないが、備忘録も合わせて書いておく。
基本の「キ」
本書にてアンドリュー・グローブは簡単なマネジャーへ期待する役割を方程式で表す。
マネジャーのアウトプット = 自分の組織のアウトプット
+
自分の影響力が及び隣接諸組織
のアウトプット
ーp64 [3 経営管理者のテコ作用] ※多少体裁は変えた
なんとも単純だが、すべてマネジャーがする行動については、この方程式を意識して活動しなければならない。打ち合わせでも、部下とのワンオンワンでも、何でもだ。またその活動がテコの作用として組織を動かさなければならない。それは権限移譲をしたりいろいろとやり方がある。
OKR(Objective Key Results)
How Google Worksで紹介され、Googleでも採用されている<OKR>という目標管理のシステムだが、Objective Key Resultという言葉は本書から初めてでた言葉だとHow Google Worksでは書いてあった。かなり具体的な手法が記載されているかと思ったがそうでもなかった。一般用語としてMBO(Management By Objective)という手法の有効性、その際にObjective(目的/目標)とKey Result(主な結果)を意識して設定することが必要だということについては、再度認識すべきだろう。
このMBOやOKRについては、必ず数値化 あるいは KPI(Key Performance Indicator)が必要だというのが世の中で共通認識されていることだと思うが、アンドリュー・グローブ自身もこの数値設定については、職種や役割に応じてじっくり考える必要があるし、その設定はかなり難しいものであると述べている。なので、社内でこのような目標指標を定める際には、部下にその不確実性を伝え、頻繁に変えることも時には必要なのかもしれない。
目標管理システムは、われわれのもつ関心事はとかく近視眼的なものになるので、環境が自分に何を要求しているかよく知らねばならないという仮定から出発している。したがって、目標管理(MBO)はプランニング・プロセスの第二、第三段階に集中していて、それらを具体亭なものにするのに大変な努力が払われている。MBOの背景にある考えはきわめて簡単なものである。つまり目的地を知らずして、そこへ行き着くことはできない。いいかえれば、昔のインディアンの諺のように、「目的地を知らないなら、どの道を通ってもそこに行きつく」ということなのである。
MBOシステムが成功するには二つの質問に答えさえすればよい。
1 わたしはどこへ行きたいか?(その答えが”目標”になる)
2 そこへ到達するためには自分のペースをどう決めるか?(その答えが里程標(マイルストーン)、すなわち”主要成果(キー・リザルト)”になる)
ーp.149 [6 計画化(プランニング)―明日のアウトプットへの今日の行動]
昇進とはなにか
このグラフと文章をみて、昇進というのがどういうものか、どういうタイミングでさせられるのかがわかった。単純に、今与えられている仕事の期待を満たしているだけではそのままで、それを超えて初めてワンランクの仕事が与えられるということだ。ワンランクの上の仕事を与えるということは、報酬と結びつけなければならないともある。
このように、基本的に二つのタイプの職務遂行要件を「満たす」遂行者がいることがわかるであろう。一つはそれ以上はヤル気をもたず、もっと上の挑戦に向かおうとしないタイプ。これは競争しない人間。もう一つの「満たす」遂行者は絶えず競争する人。彼は「要求条件を超える」水準に達するたびに、昇進の候補者になる。昇進を受けると、ふたたび「満たす」遂行者になる。これがピーター博士(「ピーターの法則」のローレンス・ピーター)の描いた人物である。しかし、我々は「無能」のレベルに達するまで昇進を続けさせる以外に実は方法がないのである。少なくともこの方法でわれわれは部下をより高い挑戦的な、困難な仕事のレベルにまで次第に向かうようになるだろう。
ーp.279 [15 タスク関連フィードバックとしての報酬]
雑感ー自分自身のマネジャーになってみるといいかもしれない
僕はまだマネジャーじゃないけれども、これを読みはじめてからアウトプットというものに意識をするようにした。すると自ずと自分自身が何をして結果として何を生み出したかがわかるため、進捗状況、自分が一歩ずつ階段を上がっている感が出てきている。「毎日同じような仕事をしてつまらない」などと思っている人には、自分自身にこのハイアウトプットマネジメントの方程式を当てはめて自分自身のマネジャーになることをおすすめする。そうすることにより、不要なことも見えてくるだろう。そすればそれを排除していくことで自分自身の満足度とスキルは上がっていくのかもしれない。
また、僕の会社では数年前まではMBOの仕組みがあったが、最近なくなった。これは、あらゆる結果を出すためのマイルストーンを失い、ビジネスという航海を不毛なものにすることに繋がってしまうのではないか。もしかすると、数年前までやっていたMBOの設定項目、Indicator自身が甘すぎ、なくしてしまっただけなのかもしれない。もっと言うとそれは、MBOをなくすことではなくIndicatorの見直しにより会社が目指す方向を定めるべきだった、という契機を見逃してしまったということだということかもしれない。
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2017/7/28追記:
思い立って書きました
2017/1/4 追記:
復刊版として日経BP社から出版されるようです(1月11日)。How Google Worksの影響が大きいでしょうか。是非読んでみてください。