そもそもこれを観たいと思ったのはヒップホップが好きだからでなく、イスラエルとパレスチナが舞台になっているからだった。秋にイスラエルも行ったし、イスラエルの社会問題が少しずつ分かるようになってきた感がある。
この映画、幾つか小さな映画館ではやっているようだけど、東京地区では渋谷のみ。結構な人の入りでした。B-Boy、B-Girl的な人はいませんでした。
前にもブログに書いたけど、イスラエルって本当におかしな国。誰が好き好んで、難民キャンプになんかいるんだ。自治区というのは一体なんなのか。そうすることでしか自分を正当化することができないからそうなるのだろうけど、意味ないような気がしてならない。
ヒップホップ(或いはラップ)というチャンネル
この映画、あるパレスチナ人のラッパー(3つのグループくらい出てきた)に密着したドキュメンタリーなのだけど、政治的な内容はすこし抑えめで、ヒップホップからイスラエルを知ってみるのもいい映画かもしれない。
少し退屈になる場面もあるドキュメンタリーだけど、ヒップホップを少しかじった人なら幾つか知っている歌手の名前も出てくる。Chuck Dのラジオにこの映画の主役となるDAMというラップグループが出演したりする場面がある。
ヒップホップ/ラップというチャンネルを使って、いろいろな思いを言葉にした。これは映画の中でもコメントがあったが、アメリカで抑圧されていた黒人がラップで心の中の思いを吐いていた、そこからヒップホップの文化が発展した、というのに確かに近い。
彼らの活動を通じて、イスラエルでは何が起こっているのか、を端的に理解させてくれる。
毒を吐くヒップホップ
このドキュメンタリー映画は単にパレスチナの一面を映しているだけだとは思うが、音楽を政治的にセンシティブなものに対して活用するというのは日本ではあまり見受けられない。芸術を活用した政治活動、政治を活用した芸術、見方によってはいろいろあるが、最近の日本には特定のアイドル歌手だけが人気を興すだけになっている。もう少し毒を吐いてもいいのではないかと思うが、あまり期待できなそう。
面白いのは彼らが歌うラップを、子供からおじいちゃん・おばあちゃんまでみんなが歌っていること。ある地方でのイベントでたくさんの人を集めて、みんなで知っているフレーズを連呼する。鳥肌。日本ではこういうの少ない、というか娯楽が多すぎてそうなっているだけなのかもしれないけど。
それから高校・大学と色々とCDを漁ったりしたのも、ヒップホップに出会えたからかもしれない。今となってはもはや音楽も特定のものを聴かなくなってしまっているが、少しは記憶の片隅に残るこの感覚を大切にしなきゃな、とも思った。
かなり殴り書きな感じだが、是非機会があったら観に行って欲しい。