Poo-tee-weet?(プーティーウィッ?)

ビジネス書などに関する紹介・感想をメインに記事を書いています。経営、組織論、テクノロジー、マーケティング。

思いあたることがたくさん?『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』

最近は働き方とかに興味があるようで、いくつか本を同時並行で読んでいる。これはそのうちの一つで、海外事例がいくつも掲載されており、刺激になった。外資に働いていてもやはりこの辺の考え方はどこかに残っているようで、感慨深いものがあった。

 

人口減少という不可避の社会的な環境の中で、一人あたりの生産性をあげ、競争力をあげる、ということを本書を読み、問題をしっかり見つめ直す必要があるだろう。

 

日本社員の仕事への姿勢

日本企業は仕事を定義するにあたって、スキルとアウトプットではなく、職場で過ごす時間と服従の誓いに焦点をあてている。日本企業で正社員として働くには、長時間労働を強いられ、どんな任務の内容と勤務場所でも引き受けなければならないことを理解する必要がある。その他の職務はすべて、低レベルで低賃金のものとなる。

ーKindle location 572

 

 

鎌倉時代の御恩と奉公的な考えかたがまだ残っているのか、中学や高校時代の体育会系の年功序列的な発想が残っているのか、こういう思考様式がよしとされる文化が残っているようだ。上に立つもの(≒年上)へは絶対に逆らえない、その人よりも先に帰ってはいけないとかよくわからないルールが多すぎて生きにくい社会であるのはだれもが思っていることだと思う。こういう文化が仕事の効率をさげ、経済力を相対的に弱くしているのは問題だというのは周知の事実だが、この国のイノベーションはコミュニティ内でお金を回すことにしか焦点が置かれていないので、国際競争力も下がっている。この思考様式が変えられないともう手遅れ感がかなりある。

 

米国企業のケース

日本にも最近はウェブ系の会社などではエンジニアの人を中心に考え方が変わってきている会社もある。しかしこのような会社は若手が主導で会社を動かしているので、身軽な対応ができ、新しいビジネスを作っているのだろうが、大企業も変わっていかないと重厚長大な組織運営も限界が出てきているのではないかと思われる。

 

ネットフリックスはすべての職務で最も優れた人材を望んでおり、そのため採用・能力開発・解雇を「賢明に」実行している。ネットフリックスでマネジャーが使用する「キーパーテスト」とは、「自分の部下が競合他社の類似の職に就くために辞職すると言ってきたと仮定して、ネットフリックスに留まるようにその部下を強く説得するかどうか」というテストである。マネジャーが自分自身にこの質問をし、回答が「ノー」、すなわち部下を説得しないと考える場合、その社員は「寛大な解雇手当を渡して即刻解雇すべきである。そうすればその職務をより優れた人材で埋めることができるから」というのがその論理である。

ーKindle location 869

 

このネットフリックスの例は実力主義の最たるものであるが、少なくともそのポジションに適切ではないと考えた場合には、手当を渡して適切な配置にしてもらうようにしてもらう会社としての仕組みは、個人への刺激にもなるし、ここまでやらなくても守られるだけの環境は人を腐らせるだけなのでこういう仕組みは導入して欲しい。実際日系企業とやりとりをすると、本質論でないところで時間がかかることが多いので、この辺はぜひ。

 

 

 

 

ちなみにネットフリックスの企業文化については、Slideshareで共有されており、これを読むだけでも刺激にはなると思うので興味のあるかたは読んでみてください。

www.slideshare.net

 

実際、W・L・ゴアは非常に独特な方法で管理運営されている。まず、伝統的な組織図というものがない。指揮系統がないのだ。あらかじめ定められたコミュニケーション経路もない。機会に合わせて自己組織化する、複数の専門分野のエキスパートから構成されるチームが仕事を行い、チームリーダーが自然に出現する。社員(「アソシエイツ」と呼ばれている)は、おおまかな仕事の分野に合わせて雇用され、機会とチームの目標の理解に基づいてスポンサー(上司ではない)の指導で、自分のスキルに合ったプロジェクトを選択する。これが、「協力に基づく自由と相乗効果に基づく自主性」を併せた環境で実行されると説明している。

ーKindle location 987


 ゴアテックスの会社であるが、これも面白い。日本企業は自主性のない仕事ばかりしているように見受けられることが多々ある。すべてそうである必要はないが、少なくとも持っているプロジェクトのうち1件くらいは自分自身がそうすべきと信じてやるものがあったほうがいいだろう。

 

本書では、上位層になる人のマネジメントスキルが足りないことに言及されいたが、確かに罵倒して従業員に仕事をさせる(それはマネジメントではない)というスタイルをとっている人がたまにいるので自分の経験としても課題があるなとリアルに感じられた。 

 

個人的には年齢だけ、役職だけでこいつに言ってもダメだろうなと思われている感をたまに感じるのですが、すこしでも旧来型の組織をもつ企業に対して何らかのインパクト(とまではいかなくとも)を与えられるようになれればなあと思っています。

 

ーー「仕事」関連 の記事はこちらからーー

poo-tee-weet.hatenablog.com