Poo-tee-weet?

とあるIT業界の外資系社員の戯言。旅半分仕事半分の人生を目指しています。書いていることはだいたい戯言。プーティーウィッ?

複数の文化圏とやり取りする人必読?『異文化理解力』を読んだ

外資系企業に勤める身としては如何に外国人(本社の方々やアジアパシフィック地域の上の方々)とうまくやり取りするかというのをしっかりとわきまえておきたいと思う今日このごろ。日本とアメリカで文化を分ければわかりやすいけれども、アメリカに住んでいる人にもいろいろな人種がいるし、アジアパシフィック地域に至っては、有象無象の人種が集まった環境である。少しでもここで感じるカルチャーギャップというのを理解し、ハードルをうまく飛び越えられるようにと思い、手にとった本がこちらです。HONZとかでも紹介されていたので、ご存知の方も多いと思いますが、今回も備忘録を残しておきたいと思います。 

 

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(いろんなサングラスを持っておけば見え方も変わるかも?)

8つの指標

本書では各文化圏に応じて、8つの指標でマッピングすること、相対的な位置関係により対面している文化圏の人とのコミュニケーションをすることを促している。8つの指標は以下。

①コミュニケーション ・・・ ローコンテクスト vs ハイコンテクスト
②評価・・・直接的なネガティブ・フィードバック vs 間接的なネガティブ・フィードバック
③説得・・・原理優先 vs 応用優先
④リード・・・平等主義 vs 階層主義
⑤決断・・・合意志向 vs トップダウン式
⑥信頼・・・タスクベース vs 関係ベース
⑦見解の相違・・・対立型 vs 対立回避型
⑧スケジューリング・・・直線的な時間 vs 柔軟な時間

                   ーp.32 イントロダクション

 

それぞれの章で具体的な事例をあげながら説明があるのでこの場では割愛するが、日本人特有の文化的行動が事例にも上がっている。コミュニケーションにローコンテクストとハイコンテクストがあることは知っていたので、個人的には「⑤決断」「⑥信頼」のところが面白かった。

 

⑤決断では、<小文字の決断><大文字の決断>という表現があり、アメリカ人は<小文字の決断>を複数繰り返し行って、最終的な形にしていくという傾向があるらしい。一方で日本人は<大文字の決断>という一度決めたら二度と変えないくらいの行動をする傾向がある。これによって日本人からすると、アメリカ人が1週間前に決断したことを簡単に変えることに違和感を覚えている。もしもこれと同様の問題に直面した際に「アメリカ人は小文字の決断をする傾向がある」と知っていれば、また変わるかもしれない、と意識した上で議論を進められるはずだ。実際に個人的にもこのようなケースに直面したことがあったのでなおさら理解が深まった。

 

⑥信頼の章(心か頭か)では、人間関係を構築する傾向を「桃」VS「ココナッツ」と表現している。これは非常に分かりやすかった。アメリカ人はアイスブレイクなどをワークショップなどで行うことが多く、容易くそれをこなしているのだが、彼らは「桃」の関係構築をする。あったばかりの人には親しく接し、どこかで種にぶつかったかのように、その人の守る壁に突き当たる。たしかにそんなに仲良くないと感じている人から、"How was your weekend?"とか聞かれると、(別にそんなこと聞かなくてもいいのに)と思ってしまう。またこの前職場の人と会話していたのだが、”How are you doing?”や”How do you do?”みたいなアメリカ人からしたら単なる挨拶を日本人が聞くと真剣に答えようとしてしまったりする。「ココナッツ」は皮が固くなかなか親しくしてもらえないが、親しくなるとプライベートも関わるような関係ができる、という関係を構築する文化のことを表している。

 

 

カルチャーマップ

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                   ーp.299 エピローグより抜粋

 

複数の文化圏出身の部下を率いるリーダーからの質問に対して実際に8つの指標を分布させて示した図がこちら。本書で何度も強調されるのが、文化と文化の相対的な位置関係を意識すること。この図では、中国人と日本人の違いについて(アジア圏なので一緒だと思うところもあったが)、質問者が困っている点を的確に説明出来ていた。

 

中国人と日本人は、コミュニケーション、評価、説得、リード、においては同等の位置にマップされているが、決断とスケジューリングにおいてはほぼ正反対の位置にマップされている。このことからこの2者がお互いに不満を感じているのだろうという分析ができる。

 

その上で、筆者はこの分布をチームに共有することを提案している。これは普段意識しないことが可視化され、お互いのコミュニケーションの潤滑剤になるということなのだ。複数のカルチャー出身のチームを率いるマネジメントはこの理解を促せるかということだけで、その組織をうまく回せる可能性が広がる。

 

雑感

たぶんモチベーションなどの違いはあれ、誰でも気持ちよく仕事をしたいものです。年齢や立場、今までキャリアを積んできた企業カルチャーなどなどいろんな要因で「なぜこれが理解してもらえないのだろう?」と悩みながらコミュニケーションをすることが多いです。その中でも、やはり文化とその人自身を理解しようとする、というのは非常に重要なことではないかと感じています

 

企業で働いているのだから、システマチックに仕事してくれればいいのに!とイライラすることもありますが、その時に一歩下がって、「この人はなぜこういう回答をしてくるのだろう?」と想像をすることで、「もしかしたら◯◯の文化圏の人だから、こういう風に考えるのでは?」と理解をしてあげようとすると、「ではこういう風に言ってみた方がいいかもしれない」と対応の試行錯誤ができます。一発で理解し合えるなんて文化圏が一緒であっても無理なのだから、人と働くときは日本人だけの組織であっても、試行錯誤でその人を知っていくという作業が必要だと思っています。全員をハッピーにして仕事をするのは難しいことですが、少しでも歩みよっていくことで仕事は1.3〜1.5倍くらいはスムーズにいくと実感しているので、これは継続しておこうと思っています。

 

中には単一的に人をアメとムチで取り扱おうとする人もおりますが、それだと不穏な空気が流れる職場になることも末端で働く者としては経験済みのことです。なので、カルチャーを理解することと、自分のチームメンバーのことを理解することはマネジメントにおいては必須のスキルなのではないかなと思います。

 

本書はアメリカの方が書かれた本なので、随所に日本は出てきますが(稟議や根回しのこと)、事例は米国との比較が多かった気がします。これでアメリカの方々に変な日本文化について理解していただけることを切に願います。笑 (日本文化一般でなく、企業文化とかもかなり深く関わってきますけどそちらは本書の範囲外ですね・・)