Poo-tee-weet?(プーティーウィッ?)

ビジネス書などに関する紹介・感想をメインに記事を書いています。経営、組織論、テクノロジー、マーケティング。

今月中 Kindleで半額!システム思考入門『世界はシステムで動く』の引用いくつか

今月『世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方 』がKindleで半額以下になっている。春に読んだっきりなので、引用をメインに改めて振り返ってみたいと思います。

 

ちなみに、第一章のメモっぽいのは下記のエントリーを書きましたね。

poo-tee-weet.hatenablog.com

 

 

システムはうまく機能する?

 

過剰に推し進めようとすると、システムはバラバラになったり、以前には見られなかった挙動を示すこともあります。しかし、だいたいにおいて、システムはかなりうまくやってのけます。それがシステムの美しいところです。
<中略>
なぜシステムは、それほどよく機能するのでしょう?自分になじみのある、高度に機能的なシステム(機械でも、人のコミュニティでも、生態系でも)の特性を考えてみてください。おそらく、「レジリエンス」、「自己組織化」、「ヒエラルキー」という3つの特徴のどれかを目にしたことがあるのではないでしょうか?

ー120〜121頁 第三章 なぜシステムはとてもよく機能するのか? 

 

この章ではシステムがうまくバランスとることについていくつも具体的な例を上げて説明されています。一番身近なのは、自分の会社やお客さんなどの組織でどこでこの特徴が働いているのかを考えると面白いと思います。

 

 

思考のための図式方法

章が1章に戻りますが、この<フロー><ストック><蛇口 >の図は個人的に気に入りました。単純に箱があって、そこから流れていくのではなく、例えばモチベーションの用に人によってインプットによっては蛇口の大きさが違かったり、蛇口を大きく明けなければ水は流れません。つまりストックがいくらたくさんあっても循環しないということです。こういう思考を具体例をベースに理解ができるのが、この本の特徴です。

 

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ー94頁 第2章 ”システムの動物園”にちょっと行ってみる

 

因果関係を考えられない若手もたまにいるようですが、複数の要因を図式でもいいから自分でメモ帳に書いてみて頭の中を整理してみる、というのは早いうちにやっておいたほうがよいと思います。そのうち、組織の中の政治とか、政治はからまなくとも機能とその分担も含めてこのフローで流れているから、ここにメスを入れればいい、というのがなんとなくわかってくるはずです(手の出しようのないことも多いですが)。なので、この本は新卒早いうちか、大学生のうちくらいにちゃんと読んでおきたい本だと思います。

 

あと、打ち合わせ中に言葉だけで会話するよりもこういう図をホワイトボードに書きながら認識合わせできる能力というのも必要だと思います。どうも立場の違う人が会話していると、認識齟齬が起きることが多い気がするのでそもそも図示することで認識の差をなるべく少なくすることが可能と思います。

 

 

どこに介入すべきか

 

本書では介入すべきリストまで記載されている。物事がうまく動かなくなった時、先ほどの図をホワイトボードやA3の紙に書いて、この12の介入リストの順に考えていけばもしかしたら解決の糸口が見えるかもしれない。

 

システムがうまく機能しない理由の中で最もよく見られるもののひとつが、情報の流れの欠如です。情報を追加したり取り戻したりすることは、強力な介入となりえます。通常は、物理的なインフラを再構築するよりも、ずっと簡単でコストもかかりません。世界の商業漁業を崩壊させている「共有地の悲劇」が生じるのは、魚の個体数の状況についてのフィードバックが、漁船への投資の意思決定にほとんど届いていないからです。経済学の考え方とは逆に、魚の「価格」はそのフィードバックを提供していません。魚が希少になるにつれて、値段は上がり、残された数少ない魚を捕まえに乗り出していけばさらに儲かることになります。これは邪悪なフィードバックであり、崩壊をもたらす自己強化型ループです。必要なのは、価格の情報ではなく、個体数に関する情報なのです。

ー254頁 第6章 レバレッジ・ポイント ーーシステムの中で介入すべき場所

 

雑感

 

なぜいまさらこの本が日本語訳されたのが不思議でならない。英語の本はおそらく2008年に出版されている(参考: Thinking in Systems: A Primer )し、それよりも最近にでたPersonal MBAでも参考書としてこの本がリストされているというのに、である。(結局洋書で読む気力はなくずっと日本語訳でないかなーと思っていたくらい)

 

それほど基本が無視されているのか、日本の出版業界が啓発系の本場からに加担しているからか、、。こういう本は、中堅くらいの大学の1年目で扱われるべきだし、そうでなければ社会人早めのうちに読む本としてどこかに上がってきて欲しいものである。こんごそうなることを祈りたいと思います。

 

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