先月あたりにはいろいろと会社をみて歩いていました。その際にあるリクルーターの方(その人は経営者という立場)からこの本を紹介されたので、購入はしていたものの、積ん読状態だった。読んでみるとエッセンスが散りばめられており、大変参考になった。”経営者のための”という前置きありきの本に見受けられるが、営業さん自身が読んでも全然いい。
本書はいわゆる”御用聞き営業”のようなスタイルの営業に対してNOというと共に、経営者にも「営業は専門職」であるがゆえに、しっかりと吟味して採用→スキルアップ→モチベーション向上のサイクルを回さなければならない、と警鐘をならすものであると言える。
営業とは専門職である
前項で触れたように、営業というのは、知識ばかりではなく、スキルが必要とされる職種である。貴社の業種、業態に必要な営業スキルと言うものは、明確にされているだろうか。
一般的に言うと、営業スキルには次のようなものがある。
*顧客開拓のスキル
*プレゼンテーション・スキル
*販売プロセスをコントロールするスキル
*クオリファイイングのスキル
*クロージング・スキル
*ネゴシエーション・スキルーp19-21 より抜粋
セールスステージというのがどの会社にもある、そのすべてのフェーズにおけるスキルを上げていかなければ、営業成績はあがっていかない。これらすべての観点についての助言が、本書に記述されている。それぞれのスキルをどう見極めるか、どう管理するか、が問題であると。ちなみに、僕が少ない経験でみているのは、”販売プロセスをコントロールするスキル”というのはかなり難しいスキルのように見える。
既存顧客がビジネスの大半を占めている会社では、このスキルが軽視されがちである。このために、御用聞き営業になってしまうのではないか。一方で、外資系企業は多分に新規開拓をかせられることが多い、その外資系企業自身が日本に進出したばかりであったり、新しい製品を買収してきたので、それを売るようにと強く言われるからだ。
営業に対するトレーニングの重要性
自分の会社に対しての不満チックになってしまうが、営業はとりあえず結果さえ出せばいい、出さない理由について考えず怒鳴り散らす、ということはどの会社でもあることなんだろう。しかしこれでは出来ない営業は腐っていくだけだ。優秀な人材は市場には限られた数しかいないはずである、それなりに普通の人をどれだけ”使える”営業にするかは経営者、管理者の役割であると思う。あるいは、営業自身が意識してやっていかなければ、生き残ることはできない、ということだ。「大変だね」と周りに同情されても誰も手を差し伸べてくれない、それが現実だったりする。
このような悪循環に陥る以前に、きちんとした営業トレーニング体型を確立していただきたい。
おおまかには、
1.貴社の営業の適正は何かを明確にする。
2.営業成績を上げる要因の分析・定義。
3.現在の営業マンに不足している要因を明確にする。
4.トレーニング・カリキュラムの作成。
5.実施方法、スケジュールの確立。
6.評価とフィードバック。
という順序で進めると良い。
きちんとしたトレーニングを与えてもらえることで、営業マンは再びやる気を出す。まだ見捨てられていないことに気づくのである。-p.54-55
自分のための管理項目
本書を読むと少なくとも営業というものに何が求められているのか、おそらく一握りしか優秀な人がいないとしても、どう頑張ればいいかがなんとなくわかるはずだ。自分自身が売り込めなければ、製品なんか売り込めるはずがない、とかかなり辛い現実を突きつけられる。自分はこれができているだろうか、と自分の経験と照らしあわせて考えると辛くなることが多かった。
誰も指導してくれる人がいない場合には、下記の点を自分で毎週チェックするようにするのがいいかもしれない。この本に各項目においてどのように考えるべきか事細かには記載されていないが、それについては、また改めて本でも読んでみることにしよう(SPIN営業という本も良書として紹介頂いたので)。
マネージャーは部下のどこをどう管理するべきかについての方法論は、貴社では確立されているだろうか。マネージャーがまジャラなければならないことは、
1.部下の営業活動に無駄な点、誤った点がないか。
(ア)時間の使い方に無駄な点はないか。
(イ)十分な顧客開拓を行っているか。アポの取り方はどうか。
(ウ)プレゼンテーションは正しくできているか(相手に合わせて、内容、時間配分などを考慮しているか、単なる商品説明に終わっていないかなど)。
2.受注に向けての販売プロセスは、支障なく予定したスケジュールどおりに進んでいるか。
(ア)スケジュールを遅らせる要因はないか。
(イ)部下はプロセスのコントロールが出来ているか。
(ウ)顧客のパワー・ベースを理解できているか。
(エ)予算の手当がされているか。
(オ)気がついていない制約は存在しないか。
(カ)部下の把握している情報は正しいか。
(キ)フォーキャストはいくらか。
の各点についてチェックし、問題があれば必要な指示を出し、解決にあたらなければならない。
さらに、そのような日々の活動を通じて、
1.部下の育成
2.部下の評価
の二つの事を行わなければらない。
そのためには、まず自分がそれを行うに十分なスキルを身につける必要がある。p.82-83
雑感
前述したように、この本を読んでいてあらゆるところで「これ自分できてるかなあ・・」と思わされた。環境に依存するのではなくて、自分自身で各フェーズについて考えて、スキルアップしていかなければならないなと。誰も助けちゃくれない。ただ、優秀な先輩社員に同行するとかそういうのも必要ではあると思う。
経営者のための営業論 | ||||
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