気になったとこ
「ここで、かの有名なアインシュタインの相対性理論のあの現象が起きるんだ。高速に近づくと、時間は伸びて、ものは縮む」
エルドウェンがつけくわえた。
ニコには、なんのことだかさっぱりわからなかった。けれども、ニコが質問するよりも先に、クロノスが話し出した。
「動く速さによって、時間はゆっくり進んだり、速く進んだりするのさ。動くスピードが速ければ速いほど、時間はゆっくりと進む。ある場所にとどまっている時計より、移動している時計のほうがゆっくりと時を刻む。これはあらゆる種類の時計に言えることだ。君の心臓の鼓動もふくめてね。もし、光速の99%のスピードの宇宙船に乗ったら、自分では気がつかないけど、きみは人より7倍長く生きる。1年後に地球に帰ったとき、家に残してきた人たちはみんな7歳年をとっているというわけだ」
「ジョン・デレクの言葉、知らないの?『太く短く生きる』。あのナイスガイが相対性理論のエキスパートだったとはね……」
キオーナが冗談を言った。
最後のジョン・デレクの下りがわからなかったのだが、1949年の映画『暗黒への転落』 でのセリフらしい(*)。それはそうと、相対性理論についてはこれくらいのことはわかっていたが、表面的であるがこういうのを理解しておくことは無駄じゃないなと思った。ジョン・デレクの言葉を入れることで、なんとなく生き方みたいなことへも言及しているところが面白かったりする。
*http://mizumakura.exblog.jp/11441383/
謝辞では、この本の主人公の名前を『セレンディップと三人の王子』から借りたということが書かれている。ここで初めて、セレンディピティという言葉がこのペルシャの民話から生まれたということ知った。文学的にも気づきのある本で、アラサーでも十分楽しめる内容で読んだ意味があったと感じました。