ワーキングメモリとは
ワーキングメモリ、何と無く短期記憶を司る機能のことをいっているのかな、と思っていたけど、少し違った。確かに短期記憶も重要だが、過去の経験や現在目の前にある状況を迅速に整理して対処するというような機能もある。
著者は本書の冒頭でワーキングメモリは「指揮者」であると述べている。
同様に、あなたのワーキングメモリという「指揮者」は、日々、嵐のように押しよせる情報を整理している。メール、鳴りつづける電話、めまぐるしく変わるスケジュール。数学の新たな課題に取り組んだり、友人のフェイスブックやツイッターの投稿を読んで気落ちしたり、取引先へのプレゼンの準備に追われたり。こうした情報の渦中にあり、どれも同じくらい重要な用事に思えるとき、あなたのワーキングメモリはおもにふたつの機能をはたす。
1. 優先順位をつけてから、情報を処理する。関係のないものは無視し、必要な情報から処理できるようにする。
2. 情報を利用して作業できるよう、保管する。ーp17
電話もいつかかってくるかわからない、情報はあまたある(このブログもツイッターもフェイスブックも)環境にいて注意散漫になってしまうという経験は誰しもあると思います。これはいわば現代病なのかもしれない。現代人こそワーキングメモリを鍛えて、優先度の高いこと、目の前にあることをちゃんとできるようになるべき。
具体的にワーキングメモリがないんだろうなあという人を思い浮かべてみると、そんな人は大抵、残念ぽっく見えてしまう。自分がもしもそういうように見られているようなのは、デメリットとしか考えられないだろう。
ワーキングメモリを鍛えることのメリット
ワーキングメモリは、このように仕事だけではなくストレス耐性やうつ病、幸福感にも影響しているという。本書ではいくつも例があげられているが、一部をかいつまんでみると、
しかし、もっと興味深いのは、強いワーキングメモリがストレスにたいして予防接種の役割をはたすことだ。2006年、マウントサイナイ医科大学院のレイチェル・イェフィーダとイェール大学医科大学院の共同研究者らは、精神的な外傷が残るほど大きなストレスがかかる状況におけるワーキングメモリの役割を調査することにした。戦闘による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を経験した退役軍人、家族をなくした人、早期発見された初期の乳がんの患者、天災を生き延びた人たちを対象に調査をおこなったところ、ワーキングメモリが関わるスキルが、ストレスに対処する上で大きな役割をはたしていることが判明した。ストレスに強ければ、日々の生活も幸せにおくれるはず。それにはワーキングメモリを鍛えることが必要そうだ。何かあった際にストレスを感じてツイッターに愚痴を書いている場合じゃない。ーp62
ワーキングメモリの活性化
ワーキングメモリを活性化する方法としていくつかのことが本書では述べられている。例えば、瞑想や運動(ランニング、特に裸足での)、絶食などは、ダイエットにもいいし、瞑想をすることは高城剛とかもよく必要性をメルマガなんかで言っている。
瞑想なんかその最たるものかもしれないが、こういうのって若干胡散臭かったり、節制することが何の意味があるのかと思われることも多い。だが、こういう節制や昔からあるいわゆる”良い”習慣というのは、体の健康だけではなく心・脳みその健康にもいいんだな。具体的な研究結果も踏まえて本書では説明があるので、かなり説得力がある。
ワーキングメモリに良い食べ物に下記のようなのが記載されていたが、これらはダイエットなどにもいいとされるものばかりである。
- オメガ3系の油
- 脂肪分の少ない赤身肉
- 脂肪分の多い魚
- 緑黄色野菜
オメガ3系の油ってあまり聞いたことがないけれど、これはダイエットにもいいらしい。食生活はお腹周りだけでなく、脳みそにも大切。
雑感
ワーキングメモリを使わずしてできる仕事こそ、自動化されるようになっていき、ロボットやコンピュータに置き換わってしまうのかもしれない。そういう意味では、如何に雑音のような作業を自動化し、脳みそを使う仕事をするようにしなければならないのではないか。
ライフハックなどで紹介されるツールはあくまでも付帯的なものであり、それ以前に自分自身のボディをハックしなければ。
小さいお子さんがいらっしゃるかたも読んでみると良いかとおもいます。
脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する | ||||
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